伝説の麻薬王「チャポ」グスマン、逮捕!

 

  222()、午前640分、メキシコ北西部のシナロア州南部のリゾート地マサトランのホテルで、「チャポ」ことホアキン・グスマン・ロレアが逮捕された。メキシコ連邦検察長官ヘスス・ムリジョ・カランによると、このときいっしょに逮捕されたのは1名だけで、銃撃は一切行われなかったという。

 チャポの写真は、1993年に逮捕された当時のもの以外、ほとんど出ていない。脱獄後の写真とされるものもいくつかあるが、本人かどうか確かではない。久しぶりに見るチャポは、面影がほとんど変わっていないなあ、という印象だ。整形手術は受けていなかったようだ。お腹にぜい肉は付いている様子だが、メキシコ人としてはほぼ標準的な体形だ(下のメキシコの新聞『ラ・ホルナーダ』の写真ではちょっとスマート見えるが、ほかの写真やビデオではもう少し太目)。しかし報道によると、不摂生がたたって心臓発作を起こし、最近は病気だったといううわさもあるという。

 

 グスマン・ロレアは2001年にハリスコ州の刑務所から脱走してのち、シナロア・カルテルのトップとして勢力を拡大し、オサマ・ビン・ラディンが殺害されてからは世界最大の指名手配犯となっていた。アメリカ政府からは700万ドル(71000万円)、メキシコ政府からは3000ペソ(23000万円)の懸賞金がかけられていた。

 

 

 http://www.jornada.unam.mx/2014/02/23/

 

 このような大物麻薬王が逮捕されたり殺害されたりした時には、「本物か?」とまず疑われる。実際に捕らえてみたら別人だったというケースもあるのだ。この点に関して検察長官は、「100%間違いない」と述べている。

  

 ムリジョ・カランによると、これは何か月もかけて計画し捜索を行ってきた結果だったという。もちろんこれはアメリカとメキシコの共同作戦で、無人機の使用や携帯電話の盗聴などが行われた。219日、アメリカのバラク・オバマ大統領が北米首脳会議に出席するためにメキシコを訪問した前後から、連邦警察や海軍などがシナロア・カルテルのボスらの警護に当たる戦闘部隊の幹部を次々に逮捕し始めた。さらにクリアカンに住む元妻の住居も強制捜査が行われた。

 

 グスマン・ロレアの身柄がなかなか拘束できなかったのは、自宅に脱出用のトンネルがあり、それが7軒の家につながっていて、鉄格子で補強された家のドアを開けている間にトンネルから脱出できたのだという。

 

 結局逮捕されたのは海浜リゾート、マサトランの海沿いの格別豪華ともいえないコンドミニアムだった。チャポはそこで行われていたパーティーに出席していたらしいという。